根力の育成

社会的・職業的自立を達成する教育体系を構築

カリキュラムの改善・変更・追加

従来の大学教育の内容は、就職時・就業後の自らのキャリア形成に当然資するもの、という暗黙の前提条件に基づいて展開されてきました。また、大学に入学する者は、自らの生活を自らコントロールする、一個の自立した人間として取り扱われてきました。

しかし、昨今の経済情勢や入学者の多様化の進展により、暗黙の前提を検証し、新しい視点から教育課程を再構築する必要に迫られています。特に、中等教育段階からの移行期にあたる初年次学生への教育課程上の支援(大学での学びや、正解のない課題への取り組み方など)の充実・体系化は、大学での学習を進める上で急務となっています。また、学生自身の目的意識・人生観といったものが、学業に対する態度・成績にも如実に反映されていることに鑑み、「大学での学びの先」や「学生自身のキャリア形成に必要な能力・専門知識」を、強く、具体的に意識させる必要があるとの問題意識を持つに至りました。

以上の学生の性質に関する前提条件もさることながら、茨城大学における従来のカリキュラムについても、大学として認識に不十分な点があったと言えます。

概して「専門的知識・技能の修得の場」としてのみ意識され、その過程で自ずと教育・修得されてきた「就業力」についての認識が不十分でした。このため「大学での勉学」と「就業力の育成」とはあたかも乖離した、時には相反するものであるかの如く認識されることさえあり、全体としての教育効果を目減りさせて来た感があります。

そこで教員・学生双方が、「大学での勉学」と「就業力育成」の不可分性を明確に自覚できるよう、以下のとおりカリキュラムを改善・変更・追加することを通じて、社会的・職業的自立を達成する教育体系を構築しようとするものです。

1)大学全体で育成する能力の指標化・プロセス管理手法の開発

茨城大学卒業生が当然備えておくべき素養としての「根力」を設定し、計画的に根力を構成する各要素をバランスよく育成します。

2)就業力育成・将来展望という視点から、教育方法・内容について授業科目を総点検

既存のカリキュラムを点検し、「大学で学ぶ内容と社会との関連性」を意識させる計画に改善・変更・追加すること。併せて、授業及び教育課程毎に学生が達するべき到達目標に対してモニタリング・評価(学生自身が希望する到達目標に対するコーディネイトも含む)を行い、授業及び教育課程を通じた個性・能力を育成します。

3)課題対応型学習(PBL:Project Based Learning)の導入及び普及

他の学生(先輩学生及び受講学生同士)との協働が求められる局面を意図的に設定し、自らの個性・能力を認識させる新しい授業手法の導入及び普及を図ります。

4)循環型教育体制の構築/SL(ステューデントリーダー)制度の導入

教育課程内外を通じて、「先輩学生から後輩学生に対する指導」等により学生同士の相互教育体制を構築します。このことにより、学んだ側が学ぶ側に成長する「教育体制の循環」を実践します。

5)電子ポートフォリオの導入、就業力育成に関する教育情報のパッケージ化、能力育成状況の客観的指標化、複数教職員間における安全な情報共有体制の構築

学生が「なるべき自分」と「そのために修得すべき能力」を明確に自覚し、今後取り組むべき「教育課程内外の課題」と「具体的計画」を自ら決定するためのツールを提供し、自他共に成長が実感できるようプロセス管理を行います。

6)初年次教育段階における「フレッシュマンゼミナール」の導入及び必修化

初年次学生に対して、「根力」の基盤となる「基礎的素養」を育成し、在学中も卒業後も実践できる「学びの方法」を体得します。

7)初年次教育段階における「キャリアアップ科目群」の導入及び必修化

現役社会人による授業を通じて「キャリア形成・キャリアデザインの重要性」について学ばせ、学生が自ら考え積極的に行動していくよう後押しします

8)様々な段階への実践的インターンシップの積極的導入

従来のインターンシップ制度を整備・拡充し、根力を構成する各要素の成長段階を認識し、不足要素の成長を促す、「自己検証の場」並びに「根力試行の場」として位置付けます。

9)「根力強化プログラム」「実践プログラム」の導入

地域・企業・卒業生と連携し、様々な企画への参加・立案・実践を通じて「根力の強化と試行」を行います。

10)「スキル養成プログラム」の導入

学生の目標達成に必要な具体的スキル獲得を支援すると同時に、学習意欲の維持・向上に資する授業を、教育課程の内外に提供します。

大学内の組織間連携

大学教育センター(以下、「大教センター」)が「司令塔」となり、就業力育成支援にまつわる学内さらには学外の各部署・組織・個人の有機的な連携を統括し、指導力と調整力を発揮します。そのために、大教センター内に「キャリア教育部」を新設し、学内努力とGP予算による支援を得て、当該機能を十分に発揮しうる人的・予算的機能強化を行いました。

茨城大学においては、「全学の教育に関する点検評価及び教育改革の支援」ならびに「教養教育」については大教センター、「専門教育」は各学部、「就職支援」は学生就職支援センター(以下「就職センター」)、「学生の健康管理」は保健管理センター、等々と、各組織に個別に業務分担がなされてきました。この「タテ割の体制」下にあっても一定の教育効果は得られてきましたが、多様化する入学者・育成するべき能力の明確化と全学的な対応が焦眉の課題であることに鑑み、従来の業務分担のありかたを見直して、大教センターを司令塔に大学生活全般を通じた根力育成の体系が構築されました。

茨城大学では、教育課程内外を通じて「最適なタイミング・最適な教育方法・最適な教育内容」により根力育成を実行していくこととしています。全学の個々の部署で蓄積してきたノウハウを司令塔に集約し、有機的な連携体制下にあって、初めて可能な効果的手法を構築していきます。手始めに、新規に導入する電子ポートフォリオを基軸に、各部局がそれぞれ実施してきた「就業力育成関係各種施策」をパッケージ化した上で、入学から卒業までの一連の学生活動情報を一元的に管理し、学生対応を行う各センター・各部署とで学生情報を共有する体制を構築しています。

既存の業務体制・情報公開体制 タテ割の取組を「就業力育成」の観点から整理・体系化した場合の例
茨城大学 茨城大学 大学教育センター 根力育成プログラム