PBL導入のヒント集

1.教員の関わり方

PBLでは学生グループでの活動の場面が多くなります。講義室内でのグループ討議、時間外のグループでの企画会議、学外でのグループ活動、成果の取りまとめなど、形態は異なりますが、いずれも学生の能動的な学びのステップとなります。このような場合、教員の関わり方は、「教授者」ではなく、「ファシリテーター」に徹することです。そのためのヒントとして、以下の点を挙げておきましょう。

  • 情報はできるだけ少なく ― 悩ませることが成長を生みます
  • 頃合いを見測る ― 「過保護・過干渉」ではなく「投げっぱなし」でもなく
  • ベンチマークを設定する ― グループ活動の進捗状況を点検する
  • 正しい答えを求めない ― ある意味、活動成果の全てが正しいのです
  • 到達点は見誤らない ― 学生はゴールを見失いがちです

2.プロジェクトとは何か?

プロジェクトとは、まず最初に実現したい目的があるはずです。それを実現するために、構想の肉付けをして企画にまとめ、実現可能性を検討し、他者の協力を得ながら、その実現に適した手段によって、実行していきます。学生たちが社会に出れば、周囲は見渡す限り大小のプロジェクトに囲まれています。PBLは、学生のうちに「練習」をする良い機会とも言えます。プロジェクトを成功させるヒントとして、以下の点を挙げておきましょう。

  • 目的をきちんと見定める ― 実現できない大きな目的は再考を
  • 目的を自分たちで理解させる ― 「やりたいこと」と「実現すべきこと」は違います
  • 学生だけでできなくてもいい ― 学内外の他者の協力を得ればいいことを体感的に理解する
  • 成功へのプロセスを描けるように ― 「地図」を持たずに森に入れば迷うだけです
  • 他のグループと競争させる ― 切磋琢磨が図られ、「競争」から「共創」へ進展します
プロジェクトの概念

3.落ちこぼれを作らない

PBLでは、学生が立てた目的を実現できるかどうかを問いますので、それが正解か不正解かということは大きな問題ではありません。不正解ということがあるとすれば、社会的に認知されないような行動をとった場合や明らかに不正義な解を導いた場合など、非常に限られたケースです。つまり、元々持っていた能力や資質に基づいて評価が行われるのではなく、個々人の努力や参画の度合いで評価されるべきと考えます。「落ちこぼれ」を作らないためには、授業への参画度を上げることが求められます。グループ活動では、表に出てこない学生を生まないよう、発表者や記録者を輪番制にしたり、何らかの役割が全員に行きわたるようにして、教員が参画度をチェックできるようにする必要があります。

4.雰囲気作りが重要

授業開始時には全くの他人同士だった学生が、授業中は主体的に行動できるようにするためのシチュエーションづくりも重要です。このためには、グループ討議やグループ活動を本格化させる前のウォーミングアップを念入りにすることが重要です。

例えば、「好きなものウェビング」というツールがあります。これを使えば、話すネタが広がり、自己紹介でも1人あたり3分を超えることもあります。

好きなものウェビング 参考:西村宣幸「ソーシャルスキルが身につくレクチャー&ワークシート」学事出版、2008年

5.基本的なマナーを身に付けさせる

プロジェクトを実行したり、地域に参画するタイプのPBLでは、授業ではなく協力者・支援者としての教員との関わりや、地域住民や企業など学外の協力者との関わりの場面も出てきます。このような場面は、社会的常識やマナーを習得する絶好の機会です。授業担当者としては、学内外の協力者への非礼がないかヒヤヒヤドキドキしなければなりませんが、厳しさを伴った実体験が学生を成長させることは間違いありません。相手方への約束の取り方(守り方)、メールを出すタイミングや文面の書き方、感謝の態度の持ち方、トラブルの回避や乗り越え方など、社会人にとっては当たり前のことですが、学生には何回も時間をかけて訓練させなければなりません。教員が自ら手を出したくなりますが、その気持ちをググッと抑えることが肝要です。

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