PBL授業の紹介

企画遂行型PBL

授業名 プロジェクト実習(スタッフ編)・(リーダー編)
科目区分 人文学部・専門科目(根力育成プログラム)
開講形態 通年2単位(実習)
科目開設の背景

この科目は、一つの企画を実際にやり遂げるプロセスの中で、実行力・企画力・協調性・調整能力等、座学では獲得しにくいスキルを獲得するPBLです。「スタッフ編」と「リーダー編」の受講生による合同授業とすることで、リーダー編の受講生はチーム内での指導的役割を担っていくとともに、スタッフ編の受講生は、経験者からのアドバイスを受けることより、円滑な事業の遂行が可能となるよう授業が設計されています。

科目の内容

授業は、受講生全員が講義室で受講する授業と、チームごとに適宜行う実践活動で構成されます。後者のチームごとの活動は、チームが立案した企画に応じて、休日を含む適当と判断される日時・場所で行われます。プロジェクト実習の名前のとおり、適切かつフレキシブルな活動を可能とすることで、学生の自主性を重んじています。以下は平成24年度に行われた授業のスケジュールです。

プロジェクト実習(スタッフ編)

4~5月は、全員合同の講義室での授業を行います。ここでは、まず今後1年間の活動を行うチーム編成に注力します。

次に、先行事例を学びます。初年度はすでにこのようなPBLの実践を行っている聖泉大学から、ご担当の先生と中心的役割を果たした学生を招いて、具体的にどのようにして企画を遂行しているのかのノウハウを学びました。

その上で、具体的な企画案を持っている学生が、それぞれの構想するプロジェクトについてプレゼンを行います。提案が出揃い質疑応答が済んだ時点で、個々の学生は自分がどのプロジェクトに取り組むかを決定し、プロジェクトチームが結成されます。チームの構成は基本的に学生個々の自由意志に任せますが、プロジェクトを安定的に推進しかつ各メンバーが責任感を持って取り組むためには、1チームの人数を5名以上9名以下程度に収めておく必要があります。

こうしてチームが結成されてからは、基本的に各チームに分かれての活動となります。おおむね週に1回の割合でチームごとの会合を行い、そこで話し合われた内容を「議事録」として成文化し、担当教員ならびに顧問教員に報告します。

さらに、個々のチームの取り組み内容やプロジェクトの進捗状況を、チームを越えて共有するために、しばしば全体での中間発表会を設定します。授業全体の活動のピークを茨苑祭ないしその前後(11月~12月前半くらい)と設定しているため、大規模なグループ活動が想定される夏休み前(7月)、夏休み後(10月)、成果取りまとめ前(12月)に中間発表会を行いました。各チームの達成目標の設定、目標を達成する上でイベントをどう位置付けるかの確認、それらに沿った進捗状況及び予算執行状況の報告等について、パワーポイントを用いたプレゼンテーションと質疑応答を行います。チーム間の情報共有と切磋琢磨が図られる機会となります。

1月末には、1年間の活動を通しての成果報告会が行われます。同時に、各チームから選出された委員による編集委員会が組織され、1年間の活動が「成果報告書」にまとめます。この報告書は、次年度のスタッフ編受講者にとって、なによりの「テキスト」となります。

このように、本実習は、学生の自主活動をできるだけ支援する一方、授業の質の低下を招かない工夫が随所で図られている実践事例と言えるでしょう。

地域参画型PBL

授業名 地域づくりプロジェクト実習 Ι および ΙΙ
科目区分 人文学部・専門科目(根力育成プログラム)
開講形態 半期2単位集中(実習・演習・実習)
科目開設の背景

この科目は、常磐太田市里美地区において、中山間地域における住民の暮らしを現地で体験しながら学ぶPBLです。授業科目の設計は以下の3段階で行われました。

常陸太田市里美地区での地域連携PBLについて
学生が、住民とともに地域内を見て回り、住民が見過ごしてきた地域資源を発掘すると共に、住民が解決を求める地域課題を洗い出す。
解決すべき地域課題をテーマとして取り上げ、学生が主体的に課題解決の方策を練り、住民とともに解決策を見出す。
解決する地域課題に対して学生の視点でより深い考究を重ね、学術的意味合いを付与して、地域に還元できる形にまとめる。
科目の内容

授業形態は、①事前学習・オリエンテーション、②現地学習1、③中間学習、④現地学習2、⑤事後学習・課題の取りまとめの構成となっています。このうち、②と④はそれぞれ農家民泊を伴う1泊2日の集中形式で、①・③・⑤は、講義室内での対面式授業です。

平成24年度は、在来品種として地域で大切に栽培されてきたカボチャを高付加価値化する販売戦略の企画をテーマとしました。長年、地域住民が独自にカボチャの販売戦略の試行錯誤を繰り返してきましたが、打開策が見つからず、やむなく安価での取引を続けてきました。今回、地区に実習学生が入ることが地区住民を後押しし、若者らしい学生のアイデアを受けて商品開発へ向かう気運を生み出しました。このように、地域住民だけでは克服できない地域課題の解決を、学生の力を入れることで図っていくということは理想的なケースと言えます。

2回に渡って行われる現地学習の1回目では、地域住民からカボチャの由来、栽培上の工夫、これまで開発してきた商品の事例等の講義を受け、茨城大学がこれまで関わってきた産学連携商品開発等の事例を見聞した後に、学生が開発予定商品ごとの企画会議で取りまとめました。学生が取りまとめた12品目の「商品開発企画書」に基づき、地域住民が実際に商品を試作し、2回目の現地学習が行われます。第2回目は、試作品を地域住民と学生が検証し、改善点の抽出、改善策の検討、それを踏まえた試作品の改善を行います。その上で、地域住民を招いての発表会・品評会を行い、地域住民からの聞き取りを行います。学生が地域の願いに応えることができたかどうかが、その場で学生に返されることになります。学生にとっては、実際に中山間地域で生きる住民の営みが自分たちの学習の題材として提供され、その学習成果がそこに還元されていき活かされていく、そのためには、真摯に地域の現状と向き合い、自分たちの知識・感覚・構想力の全てを持って応えていく緊張感を体感することができます。この緊張感こそが、地域参画型PBLの最大の特徴と言えるでしょう。

茨城大学 茨城大学 大学教育センター 根力育成プログラム